月ノ下 狸櫻 のブログ

爽やかで前向きな気持ちになれる話が好き

パラダイス学院

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-09)

「私は、アリス・バイオテック。アメリカから来ました。製薬会社の娘です。担当の教務委員会は生物学。専門は遺伝子工学です。多様な生物の調和が地球環境を良くしていくと信じています。これから生徒会第一学年運営委員会の委員長を務めます。よろしくお願…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-08)

4月11日の授業後、僕と隼人は生徒会運営委員会集会室に向かっていた。しかし、学校の教室から思いのほか遠くて焦っていた。学院に隣接して、学院の敷地の何倍もあるかという帝都電力工業技術研究所があるのは知っていたが、学院の生徒会運営委員会集会室が…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-07)

「ああ、脱線して悪いな。まあ、そんな訳で、ネットでちょっと検索しただけで、いろいろ出てくるから、あっちでもそれなりに有名人なんじゃないか。残念なのは、さっきの写真みたいなのはほとんどなくて、固そうな企業PRっぽいページで、素人が撮影した風…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-06)

【第2章】 パラダイス学院日本復興委員会「うーん、意味わからん」「そうだよな」 隼人の反応は思ったとおりだった。「まあ、でも、なんとなくわかったことがある」「何がだよ」「要はあれだ。運営委員会の事務局と言えば、役員の下僕みたいなものだろ。ま…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-05)

「信じてもらえないなら構わないわ。でもこの話にはもう一つの面があって、実は健には悪いけれど、いろいろと調べさせてもらったのよ。データを」「データ?」「個人情報とでも言うのかな」「どうやってそんなもの調べられるんだよ」「実家から学校へちょっ…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-04)

「ミス・バイオテック、待たせたね。入ってもらって構わないよ」 少し間を置いて「失礼します」 制服に身を包んだアリス・バイオテックが例の付き人と一緒に校長室に入ってきた。確かに、見晴らし台で会ったあの娘だった。「では、私はここで」 そう言うと、…

相続登記の申請義務化

令和6年4月1日に相続登記の申請義務化が施行となる。施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていない場合には、相続登記の申請義務化の対象となる。 一歩前進かと思います。 しかし、この一歩、問題を抱えてい…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-03)

一週間後に入学式を控えていたが、毎日、午前中に行われるガイダンス以外は自由だった。隼人は連日のように、マチに遊びに行こう、出身中学の後輩に気合いを入れに行こうと誘ってきたが断って、寮でボーっと過ごしていた。 入学式を明後日に控えた4月6日の…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-02)

振り返ること、丁度一週間前の4月1日、学生寮への入寮手続きを済ませ、少ない荷物の整理を終えた僕は、学院から近い海岸沿いで福島第一原発サイトの北側にある復興祈念公園の見晴らし台に制服のまま来ていた。太平洋と被災地を一望できサイトを遠望できる…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-01)

【第1章】 アリス・バイオテック 僕は福島健、今年、中学を卒業した。僕と親友の相馬隼人は、後にパラダイス学院と呼ぶことになる帝都電力工業技術研究所付属福島第一高等学院の入学式に臨んでいた。学院と呼んでいるものの、大半の意味合いは普通科の高等…

パラダイス学院留学生委員長アリス(60-00)

この小説は、2022年(令和4年)頃、初めて長編にチャレンジしてみたものです。 続編も含めて大きな物語を書きたいという気持ちが先走り、設定など結果的に使わなかった部分にこだわった割にストーリー展開がいまいち面白くないという欠点に、後で読み返して…