令和6年4月1日に相続登記の申請義務化が施行となる。施行日より前に開始した相続によって不動産を取得した場合であっても、相続登記をしていない場合には、相続登記の申請義務化の対象となる。
一歩前進かと思います。
しかし、この一歩、問題を抱えている当事者にとっては極めて重い一歩であろうし、社会的には、ようやくこの程度かとも思えます。
逆に見ると、これまで相続登記は野放し状態であった。よって、相続登記されていない物件も多数ある。
これからは、相続登記が義務化され、罰則規定も設けられる。 ここだけ見ると確かに重要な一歩と思える。
さて、この一歩がなぜ社会的に小さな一歩にしか見えないのかと言えば、相続そのものに手を付けられていないからというところがある。しかもこれは、簡単に手が加えられるようなものでもない。
「相続登記の申請義務化」と「相続そのもの」には大きな隔たりがある。
相続していない(されていない)物件は、相続登記以前の問題であり、そこに手を付けられていない以上、相続登記の申請義務化は、今、我が国が抱えている所有者不明土地などの大きな問題に対しては有効な解決策になっていない。
しかしながら、今回の「相続登記の申請義務化」は、これ以上傷口を広げない対策としては非常に有効であろうと思う。
この問題を考えると、結局、我が国の民放、私権の考え方の根底にまで行きつくと思う。
私は法律家ではないので、生兵法で怪我はしたくないが、生でもなんでも兵法を学ばなければ怪我で済まなくなる問題を抱えている者の一人になると思う。
妙な話だが、それでものんびりとしていられるのは、この問題を抱えているのは、我が国でも相当の率の人たちがいる。変な仲間意識というやつかもしれない。
所有者不明土地の面積の計は、九州並みの規模があるという話もあった。
(所有者不明土地が全て、相続に絡んでいるという訳ではない)
戦後、新憲法の下で蓄積された法体系そのものに限界がきているのかもしれないななどと思ったりもする。