月ノ下 狸櫻 のブログ

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AIの軍事利用

 外務省のHPによると、2024年3月19日から同月20日にかけて、AIと自律性の責任ある軍事利用に関する政治宣言の第一回年次会合が米国メリーランド大学において行われ、政治宣言の参加国に加え、オブザーバー国が出席したとのこと。我が国からも外務省及び防衛省からなる代表団が出席し、本政治宣言を含め、責任あるAIの軍事利用に関する取組への我が国のコミットメントを改めて表明したとのこと。
 その概要は、以下のとおりであった。
•    AIの軍事利用は、国際人道法上の国家の義務に合致した形で、責任ある人間の指揮命令系統の下で運用し、責任の所在を明らかにする必要がある。
•    各国は、軍事AI能力の開発、配備及び使用の確保のため、当該能力のライフサイクル全体を通じ、関連する各段階で、適切な措置を講じるべき。
•    政治宣言の参加国は、宣言の目的推進のために以下を行う。
    (1)軍事用AI能力の開発、配備、使用の際に本宣言の措置を実施する
    (2)本宣言へのコミットメントを表明し、措置の実施に関する適切な情報を公開する
    (3)軍事AI能力の責任ある合法的な使用確保のため、その他の適切な取組を支援する
    (4)参加国間で継続的に協議する
    (5)措置の効果的な実施を促進、改善し、又は追加的措置を確立する
    (6)国際社会の更なる関与を得る

 

 こういった取り組みは私も重要かつ必要であると思う。
 一方で、なかなか簡単にいかないだろうなとも思う。

 AIについては、軍事利用に限らず、さまざまな分野でその活用方法が話題になっている。軍事的利用については最も代表的な例になる位置づけと思う。

 そもそもAIについては、ここまで開発が進んでいる以上、止められないものと思う。言い方を変えると、表向きにはルールを作って一定の枠ぐみの中で活用していきましょうということはできるかもしれないが、陰に裏に行われる実質的な開発は、もはやだれにも止められないと思う。
 軍事や金融の分野で、秘密裏にAIを開発して、そこから利益を得ている者に対して、どの国のどういった法、あるいは国際法とでもいうべきものが、それを有効に止めさせることができるとはどうしても思えない。
 現実的には、かつての核兵器の開発競争が行われたような、AIの開発競争が行われるのではないだろうか。
 そして、仮に特定の国、あるいは集団、あるいは個人が、他を圧倒するようなAIを俄かに開発することができたとすれば、それは軍事、経済、政治などあらゆるもののバランスを一気に覆すことになるのではないだろうか。
 一方で、私は、俄かに、そのようなことになる可能性は低いのではないかと予想している。それはシンギュラリティの議論と類似のものになるだろう。
 現実的には、AIの開発には各国、企業、技術者が鎬を削って、進歩していくのではないかと予想している。そして、その開発競争から遅れたものは、その影響を緩やかに受けつつ、徐々に力を弱めていくというものだ。
 以上は、私の仮説にすぎない。果たして今後、どのようになっていくのか。私の生きている間くらいは見守っていきたい。

 

2024/4/28 追記

 法規制については無効という考えではない。AIによる推論を現実の公権力の発動に直結させてはならないという意味では、厳格な法規制が必要だろうと思う。